青山ひろし35歳の春第6回

皆さ〜ん、こんにちわ〜!エコ通ステーション窓口スタッフのエコ助です。いよいよマラソン小説「青山ヒロシ35歳の春」の佳境に入ってきましたね。皆さん読んでいただいてるでしょうか?

できれば、みなさんの感想やご意見をいただけると、作者エコ助としても、とても心の張りがでてくるのですが・・・^_^;

ど〜ぞ最後までお付き合いくださいね・・・。

あ、そうそうお知らせです。エコ通ステーション閉館までアト残り一月半となりまして、今エコ通ステーションでは、閉店セールを実施中です。在庫一掃のセールですから、勿論これまでになくお安くなっております。

サイクルジャージは1000円〜2000円台中心ですし、その他グッズ、例えば、シリコンライトは100円。その他500円、1000円のグッズも多く、只今どんどん売れています・・・。

昨日平安神宮で開催された、グレートアース京都ライドにもエコ通ステーションのブースが出店して、飛ぶように売れたようです。

是非、皆さんのご来店を心よりお待ち申しております。

はい、では、「あおやまヒロシ35歳の春」第6回の始り始り〜・・・d(^O^)b

「何、考えてんの?本番は今週の日曜日だよ!まさか、本番前にして、びびってんるんじゃないだろうね」
「何ゆーてまんねん!このあおやまひろし!びびるなんて!そないなこと一切ありまへんで!」
「ほー、えらく威勢がいいじゃないの」

「・・・・・・・・・実は、もう走るのがいやになりましてん。ただ、ただ走るだけなんて、あんまり面白ないし、わし、本当はスキーの方が好きやし、今週の日曜日にぽん友とスキーに行く約束しましてん。」
「・・・・・・・・・・・」

「部長が毎週日曜日に誘いに来るさかい、我慢してましたけど、本当は、いやになってましたんや!部長に申し訳なくて、なかなか言えへんかったさかい、黙ってましたけど・・・・・・」
「・・・・・・・・・なんてこと言うの、あおやまくん。随分がっかりさせてくれるじゃないの・・・」

「すんまへん。それで、申し訳ないんでっけど、わしの代わりに走ってもらえますやろか?」
「僕がかい?」
「えー、部長にはいろいろ親切にしてもろうたし、参加料もけっこうですから・・・・・・」
「そー!君にはがっかりしたけれど、せっかくやし、勿体無いから、代わりに走らせてもらうよ・・・・・」

「部長!おーきに!・・・・・ただし!」
「ただし?」
「わてと三つの事を約束してくれまっか!」
「三つの約束?」

「そうだす、三つの約束だす!」
「代わって走ってやろうという人に対して、えらく、えらそーな事いうんやね!」
「まーえーから、聞いておくれやす!」

あたりかまわず、大きな声で話す二人の様子に、周囲の社員達は耳をそばだてて二人の会話を聞いていた。その中で、土方だけには、事の成り行きとあおやまひろしの心情を理解していたのであった。

「一番目の約束は、絶対に入賞したりしないこと!」
「なんのこっちゃ!」
「そやかて、万が一入賞でもしはって、テレビのインタビューや新聞に写真が載ったりしたら、部長の顔があおやまひろしの名前で出るやないですか!わての方が部長より数倍えー男前やさかい、困るんですわ!」

「あのね〜・・・あおやまくん・・・・」
「えーから!最後まで聞いておくれやす!」

「二番目に・・・・・・これが一番言いたいころなんやけど・・・・・・。来年こそ京都マラソンを一緒に走ってください・・・・・・」

「だって!君!さっき、もうマラソンは嫌いになったゆーたやないか!まさか・・・・まさか・・土方に・・・」

部長が最後まで言う前に、その時すでに、二人のそばに立っていた土方が部長の肩をたたいて静かに言った。
「部長、ここはあおやまはんの言うとおりにしてあげてくれまへんやろか、私からもお願いしますわ」
土方は、部長の肩に手を載せたまま、あおやまひろしを見つめて何度もうなづいた。あおやまひろしの目にうっすらと涙が浮かんでいた。

「あおやまくん・・・・・・・」

部長も、その言葉にすべてを理解し、あおやまひろしを見つめた。
「最後に、部長は京都の街は好きやけど、京都の人間はどうも信用でけへん、といつもゆーてはったけど、どうぞ、街だけやなく、京都の人間も好きになっておくれやす!」

「あおやまくん・・・・・・・。本当は・・・・・・」

部長の瞳にも、あおやまひろしと同じように涙の光が宿っていた。
「わての名前のついたゼッケンをつけて部長が走る。それなら、二人で走っているのと同じやないですか。いつも二人で練習したんやから、それが一番いいんですわ!」

あおやまひろしは、とうとう抑えきれなくなった自分の感情をさらに押し殺そうとして下を向いた。涙が足元に落ちたのを見た時、これ以上言う言葉を見出せなくなった。

「それだけですわ!ほな、やり残した仕事がまだありまっさかい、これで失礼します!」
「おーきに、おおやまくん!しかし、実は・・・・・!」

「部長!来年の京都マラソンの日に部長が広島から出張できるように、わて、でかい失敗やらかしますさかいに!」
「何言ってんの!あおやまくん!もうこれ以上君の失敗の尻拭いはごめんだよ!それに、本当は・・・・」

部長の最後の言葉も聞かずに、あおやまひろしは、会社の外にでた。外には明るい春の光に満ち溢れていた。

「もう、すっかり春やな・・・・。いっそ今週末は本当にスキーにでも行こかいな」
と独り言をいいながら、明るい春の空を見上げた。

「でも、やっぱり、コースのどこかで、そっと部長が京都の街を走る姿を応援しよ〜っと」

そう心に決めたら、ふっと心が軽くなった・・・・。

しかし、結局、部長はその年の京都マラソンを走ることはなかったのであった・・・。